飛鳥山

タケは今日も主に都電で楽しく遊ぶ。窓からバイバイと手を振ることを覚え、お友達と一緒に手を振る。うんていやネットもなかなか上手にいいところに足を置けるようになってきた。見知らぬお友達とも一緒に遊んだり、一緒にお茶を飲んだりするように。
 
そしてもちろん公園にいる時間の半分以上は電車を見ている。在来線ウォッチングポイントの橋の上で、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に来ていたたくちゃん(もうすぐ3歳)が持っているNゲージ京浜東北線)を目ざとく見つけて欲しそうにじろじろと眺める。おばあちゃんが「ほら、貸してあげなさい」と半ば強引に貸してくれたのだが、借りた京浜東北線を走っている本物の京浜東北線と一緒に並べて走らせて喜び、案の定返そうとしない。無理矢理奪って返したら「けいひんとうほくせん!けいひんとうほくせん!ほしい!ほしいの!!」と大泣き。帰っていくたくちゃん達を追いかけていこうとするのを必死で阻止して「あれは武優のじゃないんだよ、借りたものは返さなきゃいけないんだよ、欲しかったらちゃんと自分でサンタさんやジジや父さんにおねだりしてごらん」と言い聞かせる。なかなか泣き止まなかったけれど、そのうち突然「ごめんなさい」と言い始めた。いやいや、そんな謝るようなことは何もしてないよ。謝る必要はないというけれど、やっぱり「ごめんなさい」と言う。なんだかかわいそうになってきた。そして君のその変に気が弱いと言うか優しいというかそういう部分、いいところでもあるんだけど将来いじめられはしないかと少々心配だわ。もうちょっと頑とした強さを身につけてくれると男の子の親としては安心なのだけど。朝食の時も途中で食べずに降りようとするタケを「じゃあ食べなくてもいい!」と怒って母さんが椅子から下ろすと「食べるーー」と泣き、残りを食べてちゃんとごちそうさました後に椅子から下ろすと「おかあさん、おこってない?」と訊いてきて、「おこってないよー」と思わず涙ぐみそうになってしまった。